歯の保存治療

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Conservative Treatment 歯を残すために大切なこと

歯の役目は咀嚼・嚥下することであり、消化器官の一つといっても過言ではありません。
食事して消化することは生命維持の根本、これらの機能が健全に機能しなくなってしまっては全身の健康維持も困難です。
咀嚼・嚥下の機能を健全に保つことが、健康寿命を延ばすうえでとても重要になってきます。
そのために大切なのは、歯や神経をできるだけ残すことです。
義歯などで咀嚼機能を補完したとしても、噛んだ感覚を脳に伝えたり免疫機能を発揮させたりすることができません。
当院では進行してしまったむし歯の場合でも、マイクロスコープによる精密な根管治療や歯髄保存療法を行うことで
可能な限り歯や神経を残すようにしています。

歯を残すための4つのポイント

Point.01むし歯を綺麗に取り除く
むし歯を取り残してしまうとそこから感染が広がってしまいます。かといって大きく削り過ぎると健康な部分までも失われてしまいます。当院ではマイクロスコープを使うことにより、むし歯をしっかり取り除きつつ削り過ぎない、低侵襲の精密治療を行っています。
Point.02歯の神経を守る
むし歯が深いと神経を除去しなければならないケースもあります。しかし、そのような場合でも特殊なセメントで神経を保護し、さらに歯の石灰化を促すことで神経を残せることがあります。当院ではこの「歯髄温存療法」によって神経を極力残す治療をしています。
Point.03大きなむし歯にはしっかり補強を
神経が炎症を起こしていたり病気になってしまったりしている場合は、根管治療によって神経だけを除去し、歯自体は抜歯せずに残すことが可能です。当院ではCT画像での確認やラバーダムなどを用いて感染リスクの少ない、精密な根管治療を行っています。
Point.04メインテナンスでしっかり予防
歯を残す&神経を残すには、何よりもむし歯や歯周病にならないことが大切です。定期的にメインテナンスを受け、適切なセルフケアを行いましょう。当院では一人ひとりのリスクに応じ、フッ素塗布や予防のアドバイスをしています。
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重要な役割を果たす「歯髄」

歯の中にある歯髄には神経や血管が通っており、歯に必要な栄養分を供給する役割があります。また、異常が生じた際に痛みや違和感を感知するセンサーのような働きを果たしているのも特徴です。もしも歯髄を失ってしまうと、歯が脆くなったり、防御機能が低下したりするリスクが高まります。そのため、歯の健康を維持するには、できる限り歯髄を保存することが重要です。

歯を保存するメリット

歯髄保存療法は、神経を保存し、歯の健康を維持することを目的とした治療法です。根管治療とは異なるのが、感染した組織をすべて取り除く処置ではないことです。神経を残す処置なので、適切なメインテナンスを続ければ、健康な口腔環境を長期的に維持できます。また歯を削る量を最小限に抑えることで、患者さんの負担が少なくて済むのもメリットです。

  • ご自分の歯を長く残せる

    歯髄保存療法は抜歯を回避するといった点では根管治療と同じ考えです。しかし、根管治療と異なり、神経(歯髄)を残せるので、より歯の寿命を延ばすことができます。

  • 歯を強くできる

    歯髄保存療法は、むし歯に侵された部分のみを慎重に削り取ります。そのため健康な歯質を保存し、歯の構造的な強度を維持することが可能です。また根管治療とは異なり、強力な薬剤を使用する必要がないことから、歯への負担を最小限に抑えられます。さらに、歯髄を残すことで歯の再石灰化が促進されるので、歯質を強化することができます。

  • 歯の感覚を残せる

    歯髄保存療法では、神経を残すことで歯の感覚を維持できます。つまり食事の際の快適さを保ち、食べる楽しみを損なわずに済みます。また、温度や咬合力を適切に感知できるため、無意識のうちに歯に過度な力がかかるのを防ぐことも可能です。歯や歯周組織の損傷リスクを軽減し、食事を楽しむ感覚を失わずに済むので、QOL(生活の質)の維持・向上にも結びつきます。

歯を保存するための取り組み

マイクロスコープを使用しむし歯を削るのを最小限に

当院では、歯髄を可能な限り保存するために、マイクロスコープを積極的に活用しています。肉眼では把握するのが難しい小さなむし歯に関しても、マイクロスコープがあれば、正確に発見し、最小限かつ丁寧に取り除けるのがメリットです。
また、治療中に神経が露出してしまった場合でも、マイクロスコープを用いて迅速な止血と消毒処置を行うことで、治療を中断せずに歯髄保存療法を完了できる可能性が高くなります。

むし歯・根管治療

歯の神経を守るために

歯の神経(歯髄)を抜いた後には、様々なトラブルが起こりえます。 歯髄には血管や神経などが通っていて、痛みを感じ危険を知らせるだけでなく、栄養補給や抵抗力を維持するといった役割があります。むし歯によって神経が死んでしまった歯は、これらの大切な機能が働かなくなり、次第にもろくなってしまいます。

ご自身の歯と長く付き合っていくためには、歯髄の役割が非常に大切になります。

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神経を残すための処置

当院は、(最初から根管治療しかないケースもありますが、)むし歯が重症であっても、まずは神経を残す努力をする事をお勧めしています。その為、むし歯の程度を確認するレントゲン撮影や、よけいな細菌が入らないようカバーをかけたり、細心の注意を払い治療に努めます。歯の神経を残す努力をしても、神経が死んでしまうと神経を抜く処置をおこないます。まずは、すぐに歯の神経を抜くのではなく、歯の神経を残す努力をする、これが歯を長持ちさせることに繋がっていくのです。

歯髄保存療法の詳細について

治療内容 検査、処置、術後チェック(3ヶ月後)、機能回復(レジン充填もしくは補綴)
治療回数 1~6回
期間 1~6ヶ月
費用 数千円~55,000円

(税込)

※平均的な回数・金額を掲載しております

歯髄保存療法の注意点

  • 保険適用外の自費診療となり、費用が高くなります
  • 複数回の通院が必要となることがあります
  • 治療後、一時的に熱感や痛みを感じることがあります
  • 根管の形状が複雑な場合、治療の成功率が低下する可能性があります
  • 全ての症例に適用できるわけではありません
  • 使用薬剤にアレルギーがある場合は適用できません

歯の保存治療のよくある質問

Q「歯の保存治療」とは、どのような治療のことですか?
A歯を安易に抜いてしまうのではなく、マイクロスコープなどを用いた精密なむし歯治療や根管治療、歯髄保存療法によって、ご自身の歯と、歯の神経(歯髄)を可能な限り残すことを目的とした治療の総称です。
Qなぜ歯の神経(歯髄)は、できるだけ残した方が良いのですか?
A歯の神経(歯髄)は、歯に栄養を供給したり、温度や痛みを感じて異常を知らせるセンサーの役割を担っています。
神経を失った歯は、もろくなって割れやすくなるほか、防御機能が低下してむし歯が再発しても気づきにくくなるため、歯の寿命が短くなるリスクが高まります。
Q「歯髄保存療法」と「根管治療」はどう違うのですか?
A「歯髄保存療法」は、深いむし歯でも特殊なセメントで神経を保護し、”神経を残す”ことを目指す治療です。
一方、「根管治療」は、炎症を起こしたり壊死したりした”神経を取り除き”、歯の根の中を綺麗にしてから蓋をすることで、歯自体を残す治療法です。
Q深いむし歯であれば、必ず神経を抜かなければいけませんか?
A必ずしもそうではありません。むし歯が神経の近くまで達していても、神経の状態によっては「歯髄保存療法」で神経を残せる可能性があります。
当院では、まず神経を残す努力をすることを推奨しています。ただし、神経の状態によっては根管治療が必要となる場合もあります。
Q歯髄保存療法に、健康保険は適用されますか?費用はどのくらいかかりますか?
A歯髄保存療法には、健康保険が適用される「保険診療」と、全額自己負担となる「自費診療」の2つの選択肢があります。
保険診療の場合、費用は数千円程度が目安です。ただし、治療には6か月ほどの期間がかかることがあります。
一方、自費診療の場合は、費用が5万円(+税)ほどかかりますが、治療期間を1か月程度に短縮できる可能性があります。
Q治療でマイクロスコープを使うことのメリットは何ですか?
A当院では治療の内容に応じて、マイクロスコープや拡大鏡を適切に使い分けています。
中でもマイクロスコープは、肉眼では見えないレベルまで視野を拡大できるため、むし歯に感染した部分だけを正確に、かつ最小限に削り取ることが可能です。
結果として、健康な歯を削りすぎるのを防ぎ、治療の精度と成功率を高められる点が大きなメリットです。
Q歯髄保存療法の治療後に、痛みが出ることはありますか?
A治療後、一時的に熱いものや冷たいものがしみたり、軽い痛みを感じたりすることがあります。通常は時間とともに軽減していきますが、症状が続く場合はご相談ください。
Q歯髄保存療法は誰でも受けられますか?
A全ての症例に適用できるわけではありません。歯の根の形が非常に複雑な場合、すでに神経が機能していない場合、使用する薬剤にアレルギーがある場合などは、この治療法を受けられないことがあります。
Q治療で歯を残せたら、もう安心ですか?
Aいいえ、治療後のケアが非常に重要です。治療した歯を長持ちさせるためには、日々の適切なセルフケアと、歯科医院での定期的なメインテナンスを継続し、むし歯や歯周病にならないように予防することが不可欠です。